僕らは歩いてきた 何もわからずに 何かをわかるために 僕らの足で この土を踏んで ただ生かされて けれどたしかに 僕らは歩いてきたんだ 目を覚ますと金髪の女が立っていた。 女は問う。 「坊やの名は何っての? どうしてまた、こーんな人っ子ひとり通らない道端に倒れていたわけ?」 彼は答えた。 「……名前はジルリ。だと思う」 「思う、とな」 「あとは、無い。……わからない」 ふたりは出逢った。黒き瞳の少年と、金色の髪の女。 ふたつの彩りの歯車が咬み合い、ひどく巨きな物語を織り成し創めたことなど、知る由もなく。 (fragment〜黒耀の瞳と金色の砂〜本編プロローグより抜粋)